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歳食ってくるとだんだん、そんなこと考えるのが面倒くさくなってくるとは言え、それでもふと、思いをめぐらせてしまうのは、死んだら自分はどうなるのだろう、そして自分のいないこの世界はどうなるのだろう、ってコトでして。
誰かに生まれ変わる、などというのはあまりに根拠がなく楽天的過ぎる気がする。と言って、「この世界の唯一無二の観測者」である自分、その自分が存在しない世界だなんて、そんなものが存在しうるんだろうか? などと考えていると、行き着く先の結論としては、「きっと、死んだらまた、自分が生まれた日に舞い戻って、同じ人物として一生を送り直すんだろう」と。アホらしいようですが、これが一番、合理的な考えのような気もしてます。「自分」という特殊な存在の周りに無限に積み重ねられていく、多次元宇宙。。。 そんなことはこの映画には関係ないんですけどね。発想的には少しだけカスってるかと。殺されるたびに同じ誕生日の朝に舞い戻る主人公、という、タイムリープもの。 基本的にはこういう可逆性みたいなものは、あまり映画で描くのには向いてないネタのようにも思ってたんですが、本作の面白いところは、その「繰り返される同じ日」ってのが、「無為に送っている日常」の比喩のように描かれてることで。主人公は、最初はイヤな感じの女性として描かれていて、おそらくはこれという生き甲斐もなく、ムダに日常を送ってる。そりゃ、タイムリープにも陥るってもの。 その主人公の成長物語、というと大袈裟だけど、紆余曲折の末、主人公はその日を「かけがえのない、大事な日」として送る心境になり、その姿は見てて清々しい・・・と素朴に喜んでられないのが、ホラーのホラーたる所以、サービス精神でもありますが、とにかく。 説教臭くならず、ホラーの体裁もしっかり保ちながらなお、そういう素朴なドラマ要素を入れ込んでくるのは、なかなか心憎いんじゃないでしょうか。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 7点(2022-04-24 22:09:20)(良:2票)
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