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《ネタバレ》 冷戦下、世界のあちこちで勃発した戦争は、大国間のいわば代理戦争だった。一方、日本のヤクザ社会もまた、そういう代理戦争の様相を呈していた、というのがタイトルの由来ですが、どうでしょうね、そんなに「代理戦争」感は強くない、ってか、もともとこのシリーズ自体が、消耗品としての男の生き様を描いてて、むしろシリーズの世界観そのまんま、という気も。
代理戦争、というよりは、心理戦。吹き荒れる暴力の背景には、裏切り、謀略が渦巻いている。上は金子信雄から、下は(一見何も考えてい無さそうな)川谷拓三まで、とかく要らん策略を張り巡らせては、事態を悪化させ、その結局犠牲になるのは、渡瀬恒彦のような若者。ただ死んでいく者が多い中で、渡瀬恒彦演じる若者は、母との関係が作中に織り込まれ、息子を失った母親の哀しみをこれでもかと描く。こういう、殺伐とした映画にウェットな情を絡めてくるのが、深作監督らしいところ、と言えましょうか。 危険なニオイをプンプンさせる菅原文太ほか、コワモテ俳優がずらりと並ぶ中(眉毛が無いとは言え梅宮辰夫の顔が、コワモテに分類されるのかは正直よくわからんが)、スター・小林旭がそこに顔を並べているのが、ちょっと異彩を放っています。正直、東映に来てもこういう「非・スター映画」の中に放り込まれてしまうのでは、もったいない起用、という気がしなくもないのですが、確かに作中で独特の雰囲気は醸し出しています。 ラストは、まさにここから、という場面でオシマイ。イジワル。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2021-01-02 07:13:48)
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