ロング・グッドバイ の 鱗歌 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ロ行
 > ロング・グッドバイ
 > 鱗歌さんのレビュー
ロング・グッドバイ の 鱗歌 さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
本作の原作はもちろんチャンドラー「長いお別れ」ということになるのですが、基本プロットのみを借りて別世界を作り上げたような作品ですね。原作をバッサリ刈り込んだのみならず、大きな改変もあるのですが、それより何より、ここでフィリップ・マーロウ役を演じているのはエリオット・グールド。あの1人称の乾いた語りで描かれる反骨と行動の男とは大違い、飼い猫の機嫌を取り損ねて家出されてしまう、ただヨレヨレのオッサンな訳です。隣人がハダカでヨガをやってるオネーチャンたち、というのも脱力させられます。一応は、友人の妻殺し疑惑と自殺とか、行方不明の作家の捜索依頼とか、基本プロットに則った展開はあるものの、本作におけるマーロウのイメージたるや、何だか「自分がいじめられている事に気づいていないいじめられっ子」みたいなんですね。そういうマーロウが、何を仕出かすかわからない奇妙な登場人物たちに囲まれつつも、飄々としている。それが何ともユーモラスなのですが、同時に彼自身もまた何をやらかすかわからない存在となっていて、つまりは原作と離れた行動も平気でとってしまう油断のならない存在ともなっています。ラストシーンに至っては、『第三の男』の引用かと思いきやそれもおどけて崩して見せる。実にシャレた作品です。ところで本作の後半で、シュワそっくりの若者が登場して、しかも服を脱いでムキムキボディを披露してくれるのでシュワ本人であることが我々にもわかるのですが(笑)、本作といい、『さらば愛しき女よ』のスタローンといい、チャンドラー映画には何か「筋肉枠」みたいなものでもあるんですかね?
鱗歌さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-05-31 08:55:43)(良:1票)
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-03-24透明人間現わる8レビュー4.33点
2024-03-17宇宙人東京に現わる6レビュー4.70点
2024-03-16復讐の荒野(1950)7レビュー7.00点
2024-03-16クライ・マッチョ8レビュー6.33点
2024-03-09必殺! ブラウン館の怪物たち2レビュー1.33点
2024-02-12プリズナーズ・オブ・ゴーストランド6レビュー4.50点
2024-02-04マッハ無限大6レビュー4.66点
2024-02-04燃えよデブゴン6レビュー5.11点
2024-01-21セシル・B/ザ・シネマ・ウォーズ5レビュー7.03点
2024-01-13クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち7レビュー3.51点
ロング・グッドバイのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS