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ピアース・ブロスナンのボンドは、「5代目ボンド」というより「2代目ロジャー・ムーア」のイメージがあって、この真剣みの無さが、いいなあ、と。要は、もしもジョージ・レーゼンビーが1作のみで降板しなければおそらくロジャー・ムーアの出番はなく、ロジャー・ムーアの出番が無ければこんなピアース・ブロスナンのボンドなんて誰も認めなかったんだろう、ということなんですが。幸いにもこうやってボンド役に定着し、記念すべき第20作も彼の主役にて迎えることに。
この映画の007シリーズ、荒唐無稽なアクションを、ホントにスタントでやってしまうのが何と言っても魅力で、これもロジャー・ムーア時代に(良くも悪くも)花開いた感があります。むろん、合成映像やミニチュア撮影も多いですが、そこにしっかり、非常識極まりない無茶なスタントシーンを織り交ぜてくる。しかしこの第20作、時代の流れには逆らえないということか、かなりCG化に走っちゃってて、そこは残念ではあります。まして、あくまで当時のCGですから、単に荒唐無稽なシーンをより荒唐無稽に見せてるだけ、のような。 だけど、ムチャクチャやってて、やっぱり面白い。いや、普通の意味でストーリーが面白いとか言うのは全然無いんですが、そりゃだって007映画だもの。何となくスパイごっこみたいなどうでもいいことをやりつつ、ムチャクチャなアクションを無理矢理織り込んでいく。ホバークラフトでのチェイスなんて、実に痛快。「冒頭が一番、見応えがある」という残念な構成も、007映画ならでは。 いやもちろん、その後も、見どころ色々。プレデターみたいに微妙に姿が見えなくなるアストンマーチン。透明車にボンドが乗ったら、ボンドの姿だけ宙に浮いて見えるのかと思ったが、そうはならない。ってのはどうでもいいんだけど、自動車同士でミサイル戦を繰り広げる不経済な戦い、さらには敵の基地の中まで突っこんで死闘を繰り広げる。この基地、どうやら、いわゆる「かまくら」で出来てるらしく(?)、氷の城を破壊しまくるカーアクション、これまた実に痛快。 宇宙からの光線による攻撃が、イマイチ段取り悪く、言うほど破壊が進んでるように見えないのですが、とにかく38度線付近らしいどこぞが、爆発しまくってる、スケール感があるのか無いのかよくわからんスペクタクル。派手には違いないので、クライマックスを大いに盛り上げます。 ところで、今回のもう一つの売りは、ボンドガールとしてハル・ベリーが登場。ショートヘアの顔立ちがなんとなく、浜美枝を連想してしまったのですが、いや確か「2度死ぬ」では長髪姿のボンドガールだったはず(?)なので、これは妙な連想でした。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-10-15 15:44:57)(良:1票)
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