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『フレンチコネクション』の姉妹編というか、二番煎じというか、「類似品にご注意下さい」というか、まあそういう作品。「カーチェイスをもっとスゴくしたら、もっとスゴい作品になるだろう」という非常に素朴なプロデューサー魂が感じられ、私もそういう幼稚な発想が大好きなので決して否定したくないんだけど、内容的にはやっぱり、練られてない印象が拭えません。いや、決して悪くはない作品だと思いますけどね。ハードボイルドな雰囲気が良く出ています。『フレンチ・コネクション』では“ポパイ刑事”という主旋律を支える内声部役に徹したロイ・シャイダーが、本作では主役に移って、しかしここでもやはり同じように、ひたすら犯人を挙げる事に夢中になる役。危険も顧みずどんな強引な手も辞さず、まさにこれ、「人間狩り」。その面白さは確かにあるのですが…ちょっとストーリーが弱くて、まず「どうやら最近、街に不穏な動きがあるらしい」と、事件が断片的に描かれていくんですが、これが最後までイマイチ収束感がなく、いささか平板にズルズルと顛末が描かれて行ってしまう。断片的描写による「謎かけ」はイイんだけど、収束感による加速度がトボしい…。ロイ・シャイダーもこの主役をハリキッて表現してるのは判るけど、ここぞという場面(例えばカーチェイス前に車に乗り込むシーン)で変にワンカット撮影して、かえってモタツキが目立ってしまうのも残念。しかし、中盤に長々と展開されるカーチェイス、これは確かに入魂の力作、素晴らしいです(クラッシュシーンは少ないけど。街中から郊外へ突然切り替わったりするけど)。あと、単なる洗車シーン(ホントに車洗うだけなんだけど)をこれだけスリリングに描いた作品もなかなか無いと思います(笑)。と言う訳で、欠点はあっても、実際、骨のある作品だと思います。
【鱗歌】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-05-27 08:00:00)
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