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人種問題を取り上げている時点で、どうしてもイデオロギー臭い映画に思われ勝ちですが、決してそんな一筋縄でいくような映画ではありません。怖さと美しさが同居した映像こそがこの映画のキモと言えるのではないでしょうか。囚われのアフリカ人たちが船上から錘をつけられ「処分」されるシーンのおそろしさ。「悲惨」とか「可哀想」ではなく、これは紛れも無く「恐怖」の映像。映画はしばしば、敢えて「見せない」ことで「想像に訴える」恐怖を演出するが、だからこそ、時にはこのような「想像を越える」恐怖を敢えて「見せる」ことが、驚くべき効果をもたらします。その一方では、例えば裁判のシーンでは、室内に柔らかい光が立ち込めて、むしろ穏やかな美しさにあふれています。この対比こそが、本作の持つ本当のパワーと言えるでしょう。
【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-10-24 23:24:32)(良:1票)
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