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《ネタバレ》 走るという運動の美しさに勝る運動は映画においてはないんじゃないかって毎度のことの様に思うのだけど、やっぱりこの映画を観ててもそれはそうで、あかりが駆けると、それは何やら美しくて泣けてくるもんだ。
そもそも映画における感情とか物語とかありとあらゆるそれらの整合性にあんまし興味がない自分としては、この映画のあまりにも割り切った出鱈目っぷりが好きで、それはあかりが合格発表の時に鞄の中からありとあらゆるものをぶちまけたにも関わらず次のカットではそんなの無視して立ち上がちゃう。何を描きたいか、今何を見せるべきなのかに重きを置き、あの鞄から出したあれらどーしたんだということなど、まぁそれはジャンプカットってことで繋がるってことでいいでしょと、すっとぼける。あそこで鞄にあれらを戻すショットを入れていたなら、あかりの感情は半減してこちらに届いていただろう。冒頭からその出鱈目っぷりさが目につき、これはそういう映画なのだと納得したのだ。 そしてラストはいい。亮太が作った映画のラストショットがあかりの背中だったのに対して、この映画のラストショットは背中を見せたあとの正面、更にはクロースアップのストップモーション。後ろとは亮太からの視線、つまり過去からの視線だ。前からの視線、それはあかりのこれからを予感させる視線。つまりラストショットの彼女の素晴らしい笑顔のストップモーションは、きっと素晴らしいであろう彼女の未来を予感させてくれるのだ。つまりたったふたつのショットであかりの未来を描いている。 【すぺるま】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-04-12 01:03:49)(良:1票)
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