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《ネタバレ》 相変わらずのスピルバーグ節!神懸かりの演出テクニックで、至ってシンプルなお話を超一級の娯楽大作に仕上げてくれました。ミクロな部分を徹底的に描く事でマクロを感じさせる物語になっていると思います。物語のテーマとスピルバーグの演出スタイルが見事に合致しているんでしょうね。前半はスペクタクルで、後半は象徴的な展開になっていき、前編後編で違った楽しみ方もできます。
逆に、リアリティを重視する人からは評価されずらいだろうなあと思います。 ティム・ロビンスは主人公の負の一面で、彼を殺すことで「一人で生きていく自分勝手な性格」と決別する、ということなんでしょう。「地下室」は深層心理の典型的な象徴だし(けどちょっと無理あるかな・・・)。息子が生きて帰ってくるのも、個人的にはご都合主義とは思いませんでした。「リアリティの都合」で死ぬほうがよっぽどご都合主義でしょう。ツッコミやすい映画だとは思いますが、それ以上に良いところがいっぱいある作品だと思います。 自分は映画全体を見て、「手を繋ぐ」っていうのは大事なことなんだなあ、と思わされました。この映画には、手を繋いだりスキンシップするシーンが沢山あります。つらい時、不安な時、危険な時。登場人物たちは直前までケンカしていても、そういう時にはしっかり手を繋ぎハグし合います。邦画ではあまりこういう演技ないですよね。国民性の違いもあるのかな。パニックに陥りかけた妹を励ますシーンも、ある意味では手を繋ぐ場面ですね。 自分が好きなのは、主人公親子がトライポッドに捕まり、鳥かごのようなモノに閉じ込められるシーン。ここをただのパニックシーンだと思ってはいけない!カゴに閉じ込められているのは、男女はもちろん、子供に老人、黒人白人アジア人、民間人に軍人たち。そして彼らが、たった一人のために手に手をとって助け合います。カゴの中が世界の縮図になっていて、人類が一致団結する場面になっているわけです。前半で散々人類の醜い一面を描いてきましたが、本当に絶望的な局面で初めて希望が見えるんです。このシーンは見て震えましたね。ここがクライマックスと言ってもいいんじゃないでしょうか。あとのシーンはオマケってことで(笑)。けれど、宇宙人が絶命するシーンも印象的でした。大殺戮を繰り広げた彼らでさえ、もがき苦しみ絶命する瞬間、助けを求めて「誰か」に手を伸ばすんだなあ・・・。 【ゆうろう】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-11-03 07:38:17)
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