ハンナ の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ハ行
 > ハンナ
 > 鉄腕麗人さんのレビュー
ハンナ の 鉄腕麗人 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 ハンナ
製作国,,
上映時間111分
劇場公開日 2011-08-27
ジャンルアクション,ドラマ,サスペンス,犯罪もの
レビュー情報
まるで拷問器具のように見えるデンタルケアセットを几帳面に並べ、自らの歯間を血が出るほど磨き続けるCIAエージェント役のケイト・ブランシェットが怖い。
“追跡者”として珍しく悪役を演じる彼女のキャラクターはとても印象的で、劇中でも表現されるが「魔女」という比喩があまりに相応しい役所だった。

赤子の頃から凍てつく森の奥に閉じ込められ、ひたすらに殺人の術を叩き込まれてきた少女。彼女の存在の“解放”と、秘められた謎を追うストーリーは、正直ありきたりと言える。
ただ、ただモチーフとして用いられている「グリム童話」が示すように、映画世界そのものがある種の“寓話”として描かれており、垣間見える非現実感が独特の世界観を構築していたとは思う。
冒頭からどこか達観した主人公の少女のたたずまいや、概念的な台詞回しに引き込まれたことは間違いない。

そこに何かしらの“含み”を持った曲のあるキャラクターたちが息づき、印象的な世界観をさらに深めていったと思う。
また画面には、常に今この瞬間に凶弾が襲ってくるかもしれないという緊張感が溢れ、上質なサスペンススリラーが映し出されていた。

しかし、最終的には物足りなさが先行したままエンドクレジットが流れ始めてしまった。

結局、寓話的な曖昧さが全体を包み込んでしまい、ストーリーに説得力が無かった。
キャラクターそれぞれに魅力的な存在感は備わっていたが、彼らが抱える過去の葛藤や人間性の描写が中途半端なままで、つまるところ何がしたかったのかが伝わってこない。

ジェイソン・フレミングが父親役で登場する家族との交流も、何だか中途半端で、捕らえられた家族があの後どうなってしまったのかとても気になって仕方が無い。
そういったあらゆる部分での人間描写があまりに中途半端過ぎたと思う。

「心臓外しちゃった」という主人公の台詞を、オープニングとエンディングで絡ませた演出は格好良かったけれど、ストーリー自体に今ひとつ中身がないので、「結局、ソレやりたかっただけじゃね?」と本来生じて欲しかったカタルシスを感じられなかった。

あとほんの少し脚本に小気味良い工夫があれば、圧倒的に素晴らしいアクション映画になっていた可能性は大いにあるだけに、とても勿体ない。
鉄腕麗人さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2012-02-04 14:20:55)
鉄腕麗人 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-11-16十一人の賊軍8レビュー6.80点
モアナと伝説の海6レビュー6.81点
ルックバック10レビュー7.85点
2024-11-09ARGYLLE/アーガイル6レビュー6.00点
2024-11-05猿の惑星/キングダム8レビュー7.00点
2024-11-05ザ・クリエイター/創造者7レビュー5.84点
2024-11-03ゴジラ×コング 新たなる帝国7レビュー5.57点
2024-10-27がんばっていきまっしょい(2024)6レビュー6.00点
2024-10-27インビジブル・ゲスト 悪魔の証明8レビュー6.33点
2024-10-27ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ9レビュー5.88点
ハンナのレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS