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《ネタバレ》 人間の幸せや平穏というのはある種の暴力を前にすると木端のように砕け散ってしまい、人間の存在そのものも何も高尚なものではなく所詮はただの肉片でしかないという、普段は意識しない(忘れようとしている)ことを改めて見せつけられるような、強烈な映画でした。
人が辿る人生と言うのは決してお花畑ではありえず、それも一皮むけば(半歩でも間違えようものなら)こういう暴力や悲惨が蠢いている(あるいはこういうものに自分も足を突っ込んでしまう)という事を改めて思い知らされたような気がします。そんな暴力や悲惨に妙なカタルシスを感じてしまうのがまた始末が悪いのですが・・・。やってることの良し悪しはともかく、本能のままに行動する村田達や(後半の)社本のその様子が、とことん突き抜けまくった解放感を見る者に与えるからでしょうか。 「人生ってのは痛いもんなんだよ」と社本は命を懸けて娘に言葉を絞り出しますが、それを向けられた娘は「やっと死にやがったかクソジジイ!」と彼を足蹴にし嘲笑します。あの救いようもないラストによって、この映画は観客の心にその「人生の痛み」を具現化してザックリと刻み付けたのだろうと思います。 そこに「人生と言うのはとことん冷たく、人間は脆いものなんだよ、仕方がないもんだね」とそっと教えてくれているような「制作側の愛情」を見る思いがするのは、僕自身の弱い心がそこにあるはずのない希望を見ようとしているせいなのか、それはわかりません。しかし僕自身はこの映画の中に、「人間という脆く弱い存在への愛」を確かに感じました。 【マーチェンカ】さん [DVD(邦画)] 9点(2013-03-11 00:12:43)
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