カンフー・マスター! の fero さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > カ行
 > カンフー・マスター!
 > feroさんのレビュー
カンフー・マスター! の fero さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 カンフー・マスター!
製作国
ジャンルラブストーリー
レビュー情報
《ネタバレ》 「ジェーン・バーキンにしかできない映画」という言葉は、一面では正しいし、一面では間違っているようにも思える。この映画を観る時、多くの人がその中にセルジュ・ゲンズブールの影響を読み取るだろう。フレンチロリータの巨匠セルジュ。ジェーン自身も彼に見出されたロリータの一人であり、この映画の着想はセルジュのロリータ(中年男性の少女への愛)が反転されたものであることは容易に想像できる。しかし、そうでありながらもこの作品はセルジュのそれとまったく違うベクトルを持っている。それは、セルジュがロリータを絶対的な女神、自分を受け入れてくれる存在として描いたのに対し、ジェーンが母親としての視線を捨てず、庇護すべき対象として描いた事だ。それは、そのまま相手から自分へ注がれる愛に反映される。ロリータはセルジュを愛するが、そこに理由はない。あえて言えばセルジュの理想を実現させたに過ぎない。少年はジェーンを愛する、しかしそこには打算と性への憧れが隠れている。(エンディングでドライに語る少年の言葉がそれだ。)この映画は徹底したリアリシズムで進行しており(キャストも含めて)、セルジュへのアンチテーゼともとれる結末で終わる。セルジュとは違ったロリータ観を立ち上げたことは理解できるが、それによってセルジュの達した頂へ到達していないことも確かなのだ。これが、ジェーンでなければならず、そうでもないとも言える理由である。ここまで読んで、ドワイヨンの影響を考察せずに何を言う!と思われた方も多いだろう。まったくその通りである。浅学な自分はそこまで到達できていない。この時代のフランス映画はやけに奥が深いなと思う次第である。
feroさん 8点(2004-02-20 22:15:48)(良:1票)
fero さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2006-01-31六月の蛇6レビュー6.74点
2005-12-06ベーゼ・モア6レビュー4.09点
2005-06-27アララトの聖母5レビュー7.00点
2005-05-29テヘラン悪ガキ日記8レビュー7.25点
2004-12-28ネネットとボニー6レビュー4.50点
2004-12-24青い車9レビュー5.13点
2004-12-24いま、会いにゆきます9レビュー7.48点
2004-11-14忘れられない人7レビュー7.16点
2004-11-0120467レビュー4.78点
2004-08-14メルシー・ラ・ヴィ5レビュー5.50点
カンフー・マスター!のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS