| 作品情報
レビュー情報
《ネタバレ》 まず一番最初に書いておきたい事は、この映画が名作であるということです。音楽、美術、演技など、映画としての素晴らしさに溢れています。ストーリーも、冒頭のコメントにあるように純愛とアクションを完全に語り尽くすこのプロットは、本当に美しいものでした。それにしても、各アクターの存在感が凄まじいほどですね。特にセルジュは、音楽・監督業だけでなく、俳優としてもこれだけの力を持っている事に、奇才の名を欲しいままにしている理由が伺えます。ジェーン.b、ポール・ニコラスも、男と女ですが、違う色の愛で満たされていて、感動的ですらありました。ラストシーンは、二人が憎み合うのではなく、ひたすらにセルジュの死を悲しんでいたことに、その愛がひしひしと伝わってきました。カット割や音楽なども最高で、絶妙のタイミングを保っていたと思う。印象的だったのが養鶏場でのシーン。鶏の中をかき分けて打ち合い、隣りの棟の男を狙撃するシーンや、両手に鶏の屍をぶらさげて肩を組むシーンなど、そうスタイリッシュでも、泥臭くもないが、新しさに溢れていて、カメラワークの見事さが溢れていた。カーチェイスでも、徹底的に3人の表情を追っていて、アップでしつこく写しつづけている所など、心情描写に徹していて気持ちがよかった。最後に、この映画が70年に製作されていることに驚きを感じます。まったく色あせないこの感性には、各スタッフの力とともに、文化大国と言われるフランスの度量を感じます。
【fero】さん 9点(2004-01-27 20:39:40)
fero さんの 最近のクチコミ・感想
|