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《ネタバレ》 『ジョーズ』を映画館で見て以来、スピルバーグ大好きな私ですが今回は彼の作品で最も退屈した感じ。
だってリンカーンですよ。アメリカの昔の大統領で、ヒゲにシルクハットで、奴隷解放して、劇場で撃たれて死んじゃった、っていうのはみんなよく知ってる事じゃないですか。その誰でも知ってるリンカーンが、じゃあ、具体的に何をしたか、どう生きたか、その奥深いところを見せてくれるのかっていうと、必ずしも「それ以上」を見せてくれる映画ではなくて。 映画はほぼ対話シーンのみ。憲法の修正案が下院で可決される話が映画の本筋で、それ以前とそれ以降は少しだけ、その修正案の可決がどれだけ面白いモノなのか、っていうと・・・。 結果は判ってる、その結果に向って映画がどう走ってゆくのか、人がどう動いてゆくのか、そこがどうも面白味に欠けるんですよね。様々な要素が散りばめられてはいるのですが、まとまって大きな流れになってはゆかず、それぞれの事象が予め決まっている形に収まりました、みたいな状態で。 まあ、スピルバーグはドラマを撮ると途端に冴えなくなる、やたら間延びする、っていうのは昔からのパターンではあるのですが(今回の映画は『アミスタッド』から画的な見せ場を抜いたような代物で)。それは脚本や、早撮りでその分、雑なカメラでお馴染みヤヌス・カミンスキーや、ダラーっと凡庸な切り方、繋ぎ方でお馴染みマイケル・カーンの編集、そして今回やたらボヤけた印象のジョン・ウィリアムズの旋律のせいばかりではないかと。 対話シーンをタイトにダイナミックに撮るって事だってできたハズなんですが、スピルバーグって、それは毎度苦手な気がして、その苦手だけで構成されてるような映画、スピルバーグからケレン味抜いたら残るモノは少ないでしょうって。 ダニエル・デイ=ルイスは良い演技、だけどキャラ的にそんなに面白いと思えず(すぐに喩え話や笑い話ではぐらかしに持ってゆくの、あれがユーモラスというよりはイラつくおっさんって感じだったりして)、一方でトミー・リー・ジョーンズがいちいちおいしい見せ場をさらう儲け役という感じ。 アメリカが真の民主主義の道を歩む事になるきっかけの物語、というよりも、なんかアメリカ人ってわりと近年まで随分野蛮だったんだねぇ、って見終わってそんな印象を与えてしまうような映画だったように思えるのですが。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 5点(2013-05-05 23:49:06)(良:2票)
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