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《ネタバレ》 内と外とを描いた映画なのですが、どうも映画そのものの作られ方も、その面白さも内と外とで分れてしまっているようで。
ほぼ密室状態の脳内会議の世界は大変に面白いです。個性がぶつかりあって繰り広げられる、テンポある対話劇はキャラも魅力的ですし、笑わせてくれます。 だけど現実世界の物語は退屈。その凡庸さゆえ脳内を描くためのお膳立て程度の存在感、にしてはダラダラと長い気がしてしまって。大騒ぎな脳内と、それとは真逆な、抑圧されたようないちこの実際の行動とのギャップが楽しみどころなのですが、現実側の数々のシチュエーションは単調で同じところをグルグルするばかり。早乙女のキャラはかなり早期に提示される訳で、そこから発展的とは言えない苦悩や葛藤がずーっと続いてゆくのは、脳内頼りだとは言え、見ていてちょっとシンドいです。 一方でいちこが作家として成功するあたりから、シンパシーが薄くなってゆくような、描いている世界が狭まっていくような感覚があって、石橋が硬直状態になるのも手伝って、更にシンドくなってゆく感じで。 それに、脳内のセット撮影は冴えているのですが、ロケ映像はあまりパッとしない感じで。東横線沿線を舞台にした映画で、中目黒で生まれ育った私には、一体それのどこが中目黒駅よ?ってツッコんじゃう状態はともかく、新丸子も元住吉も、更に東京国際フォーラムも江の島すらも、ロケーションを活かした映画になっていなくて、そういう環境描写は不要なのかえ?と。いちこがインドア派でアウトドアに対しては空疎なイメージしか持っていない事の表れ、とかいうのならば判らなくもないのですが。でも、ラストの振り返らずに進むいちこの姿にも、解放感が表れている、という感じでもなかったですしねぇ。 あと、舞台挨拶で監督がラストシーンは観客の想像に任せる作りと仰ってましたが、だとすると本屋の越智のカットは不要なんじゃないでしょうか。あれがモンタージュとして余計な機能を果たしちゃってると思うんですが。 脳内の方が圧倒的に面白いのですが、脳内だけでは絶対に成立しないという構造、そこがこの映画の弱点でしょうか。もう少し恋愛以外の事でも脳内メンバーが機能していてくれたら良かったのかな。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 6点(2015-05-13 22:02:18)(良:1票)
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