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アニメの力、ってヤツがすっごい実感できるんですよね、この監督の映画って。「PERFECT BLUE」では作画力の問題でソレがいまひとつ感じられなかったんですけど、「千年女優」とこの映画は、なんつーか凄いなぁ、って。3作品、どれも実写的なのですが、じゃあ実写で成立するか、っていうとムリで、アニメだからこその世界だと思います。今作はもし実写でやっちゃうと、ひたすら偶然が生み出す奇跡がインチキ臭くて仕方なくなりますもんね。リアリズムとデフォルメの程よいバランスが、心地良い時間をもたらしてくれています。これって、脚本段階にしろ、作画段階にしろ、アフレコ段階にしろ、少しでもバランスを崩すと、たちまちのうちに「実写の代用物」か「そこら辺にゴロゴロ溢れてる系絵空事アニメ」かのどちらかに転がると思うんです。その、危うい中間のところでちょうどいいキャラクターとちょうどいい物語とちょうどいい世界が出来上がってる、そんな感じ。もちろん、確かな作画と多彩な表現で昔から定評のあるマッドハウスの力によるところも大きいのですが。東京の街は実際に絵として切り取ると、必ずしも東京らしさが伝わらなかったりするものですが(生身が感じる東京は写真で捉える東京とはまた別ですから)、あくまで写実的なディティールの細かさとアニメ的色調や構図の強調とで上手く東京の空気を伝えているなぁ、と感心します(雪に埋まった灰色の東京なんて、そうそうこんな感じ、って)。アニメだからこそ描けるもの、アニメでは描けないもの、アニメにしか描けないもの。この映画はそれを弁えているからこそ辿り着けた世界だと思います。
【あにやん🌈】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-07-14 01:56:36)(良:1票)
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