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《ネタバレ》 開始いきなりかかるダイアー・ストレイツの『マネー・フォー・ナッシング』でわけもなくアガる。この曲を知らない人はどう思うのかわからないが、とりあえずなんかわからんが盛り上がる気分になるのではないだろうか。80年代のPVやニュース映像が流れてそのまま映画のストーリー画面へ。古い画質から現代基準の映画の品質にゆーっくり戻していくのだが、このさじ加減が上手い。
話自体は一本道だし史実だからどんでん返しもない。その合間を80'sポップが絶妙に埋めていく。歌詞がわかる人ならもっと感じ取れるものがあるかもしれない。その他のガジェットや車、建物、もちろんファッションや髪型に注意が払われていて観客を自然に1984年に連れていく。 感心するのはキャスティング。ジョーダンの父役の人は現実のジェームス・ジョーダンには似ていないが、マイケル・ジョーダンに似ているので登場した瞬間にこの人があのジョーダンの父だとわかる。母役もやはり本人には似ていないがこれは演技重視ということだろう。ちなみにこの母役ヴィオラ・デイヴィスの配役はマイケル・ジョーダン本人の希望だったらしい。 この映画に登場する本当の人物像には、たぶんマット・デイモンやベン・アフレックのような輝けるスター達のようなオーラはないと想像する。そこにもしマイケル・ジョーダンという、どんなスターも居るだけで圧倒する存在を放り込むなら誰を連れてくればいいのか。当然ながらそんな役者は存在しないからジョーダン役の人はほぼ顔を映さない。この中心になる人物を空白にしておく構成も実に上手いと感じた。 この映画は大画面や大音響がなくても十分成立する。2023年にそんな映画を映画館で観るのも乙なものだと思った。そして1984年の空気感に浸らせてくれて、家に帰ってもその空気が漂っている気がした。実はこの空気感がこの映画の隠れた主役なのかもしれない。 【tubird】さん [映画館(字幕)] 7点(2023-04-26 23:02:04)(良:1票)
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