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《ネタバレ》 東映のヤクザ映画ってガラが悪い印象が強くてほとんど見ていないのだが、池部良の訃報を聞き、思い切って本作を見た。東映のヤクザ映画に抵抗があるため、合わなかったらどうしようかと不安のほうが大きかったわけだが、とにかく、主演の高倉健と池部良がかっこよく、なんて粋なんだろうと思った。主演の二人だけでなく、周りの脇役たちも実にイキイキとしていてマキノ雅弘監督らしいにぎやかな映画となっていて面白かった。高倉健演じる花田秀次郎のところへ波紋にされた池部良演じる風間重吉が現れ殴り込みの助っ人を願い出るシーンなどは熱い男の友情を感じさせていて感動的だし、山城新伍が惚れた女のために纏を質に入れてしまうエピソードなど人間ドラマとしても見ごたえ充分。特に殴り込みの前にある高倉健と藤純子のシーンは、藤純子演じる文代の悲しみがストレートに伝わってきて彼女に思わず感情移入してしまう。そしていよいよ殴り込み。このシーンの高倉健と池部良のなんとカッコイイこと。とくに池部良は東宝の「雪国」、「青い山脈」などの文芸作品、あるいは「潜水艦イー57降伏せず」といった戦争映画での演技が印象に残っているのだが、ヤクザ映画でここまで粋な役を演じているのを見ると新鮮に感じるし、ああ、いい役者だなあと改めて思う。ラストの見事な余韻の残し方もマキノ監督らしく、繰り返しになるが本当に粋という言葉がよく似合う傑作映画だと思う。
【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-10-21 18:10:29)(良:1票)
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