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レビュー情報
911以後やたらアメリカの病理を描く映画が多いです。本作もその範疇に入るでしょう。自分がちょっと前に映画館で観たヴェンダースの「ランド・オブ・プレンティ」、ワインの世界をを描いた「モンドヴィーノ」なんかでもそうです。なにも「華氏911」とかいうあからさまなのじゃなくてもそんなのが多いです。創作をする人々は時代の空気を表現したいものだそうです。それは単に英雄気取りでアメリカを悪者にしているわけでもないし、サヨってわけでもないでしょう。アメリカ人監督なら相当な危機感をもって自己反省しているのだし、他国の監督ならアメリカに将来の自国の姿を見ているのです。そりゃ自己満足はあるでしょうけどね。私のレビューよりはないでしょうが・・・。国家のあり方や時代の空気なんて我々個人に関係ねえよ、いや、あんまり関係あって欲しくねえ・・・と思っている私ですが、そういうものが実際に個人をどうしようもなく不幸に陥れることもあるし、人々の精神に影響を与えているのは間違いないでしょう。こういう政治的な観方は本来嫌いなんですけど、近年の一連の同じ系譜の映画の連続がそんな観方を強要しているかのようですし、そういう観方をすれば本作も結構すんなり納得いくところが多いです。ヘタレ警察官はあまりに見事なアメリカぶり?でちょっとやりすぎかもしれませんが・・・。でも、本作はそういうことがメインの作品では全然ないと思いますけどね。人それぞれの不幸の度合いは比較不能で、誰が特に悪いわけでもなかったり、みんなが悪かったりで解決不能な問題が世の中にはあります。比較不能な価値の対立があります。本作はそんな表現し難い泥沼の世界のあり様を傍から見ればどうでもいい醜い小さな争いに凝縮し、悲劇的に美しく描いています。私ごときには言葉で本作の感動をうまく表現できないのが残念です。自分の文章力と脳ミソではこの作品の不思議な感動と憂鬱を表現できないのです。そこで上っ面をなぞったレビューもありかな・・・とアメリカ嫌い的な文章になっちゃいました。ごめんなさい。こういう観るからに出来の良さげなのは好きです。映像についてはカメラワークとか知りませんけどキレイでしょ?。玄人受けしそうで高尚だからって私は嫌うことはありません。鼻についてもそれはそれで讃えてやればいいじゃないですか。監督の次作期待してます。
【しったか偽善者】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-01-17 23:20:04)(良:1票)
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