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《ネタバレ》 芸術作品は大抵正義の欺瞞を暴き、善悪を相対化し、倫理の底を掘り下げていきます。だが、そんなのだけじゃない。あえて正気で善悪の姿をはっきり提示するものもあります。映画で言うならキャプラ作品やチャップリンの幾つかの作品なんかそうでしょう。私はこちらの方が大変だと思います。自分があえて相対化のまな板の上に乗るんですから、説得力はもちろん勇気が必要です(凡人の説得力だと目もあてられない駄作となるでしょう)。この作品のはっきりした善悪の描き方の潔さ、その説得力には拍手したいと思います。文句なしに引き込まれてしまう面白さは相当なものだと個人的に思うのですが・・人それぞれでしょうけど。良心の呵責にさいなまれて耐えきれなかった敵役先輩議員のラストの決断は現実ではあり得ないですよね。主人公がどんなに感動的な努力を払おうともあれがなければ敗北なわけで、これはやっぱりがんばれば報われる、人間の良心や理想を信頼しよう、という甘っちょろい話だとは思います。私自信甘っちょろいし、偽善者なのでこういうのには弱いんです。スミス君の議会での行為は牛歩戦術的な、制度の間隙を突いたものだと思いますが、あれが肯定できるかどうかは難しい問題だと思います。ただ一点文句なしに許せないのは、全体の雰囲気からすれば突っ込んでもしょうがないかもれませんが、スミス君が中傷記事書いた記者連中を殴ってまわる行為です。言語道断でしょう。あれだけで議員失格です。現実でもクビでしょう。他人の名誉を不当に侵害する表現行為が許されないのは当然ですが、彼は公人の議員だし、記事の内容も子供の悪口っぽいし、自力救済の暴力行為で報復するのを放置したら表現の自由なんて無意味になります。アメリカはそういうのには敏感だと思うんだけど・・。監督の悪いアメリカ的正義感や独善性が透けて見えるような気が・・。マイナス10点してやりたいくらいですが、映画がとても面白いので1点しか引きません。あ~、また正義ヅラした目もあてらられない偽善的コメント書いちゃった。
【しったか偽善者】さん 9点(2004-04-13 22:02:34)
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