カイロの紫のバラ の しったか偽善者 さんのクチコミ・感想

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カイロの紫のバラ の しったか偽善者 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 カイロの紫のバラ
製作国
上映時間82分
劇場公開日 1986-04-26
ジャンルドラマ,ラブストーリー,ファンタジー
レビュー情報
本作は映画を観ている我々に向かって、映画を観るとはどういことかを描いてみせたメタ的な映画です。監督の他作品同様、表現者としての視点が垣間見え、(脚本家とドラマ)が(神と人生)に対比され、絶対的で冷酷な運命の受け入れというモチーフが出てきます。「現実は汚いのよ」(いいセリフだ・・・)と言うその世界が映画の中ということにハッとさせられます。理想と現実のギャップに対峙して完全な精神の自由性を求める態度から出るシニカルな笑い、これはいわゆるロマンティックアイロニーという奴でしょうか?。この映画は作品自体が一つのロマンティックアイロニーみたいなものです。映画で現実を突きつけることの間抜けさを自覚しながら、観客に現実を突きつけ、かつ観客に現実逃避させる。やっぱり巧い。巧いと唸らされつつも小賢しさが鼻につきそうな映画の作りです。しかし、この映画は技巧に走った冷たさが感じられません。それは作品人気にも表れています。本作は必死にあがき夢見る全ての人間への優しいなぐさめであり、励ましであると思います。現実逃避をしない人間はいません。理想・夢想・空想は、現実に立ち向かうために必要でしょう。リンドバーグのような英雄的人物は夢想の力をバックに現実を変えたのではないでしょうか?。現実に立ち向かうドラマ(人生)だけがドラマ(人生)ではありません。たしかに怠惰な現実逃避は自己破滅を招き、他人に迷惑をかけることがあるでしょう。しかし、空想癖により失業した主人公セシリアは愚かであっても、カワイイ愛すべき人間です。現実見ろと親切心で忠告するのならともかく、夢見る者を心ない目で他人が嘲笑することこそ愚かじゃないでしょうか?。P.S.本作は「映画好きなら誰でも」みたいな周りがつけたキャッチフレーズみたいなものが胡散臭いながらも独特の魅力を醸し出しています。映画の魅力にはそういうのも含めていいんじゃないでしょうか?。たしかに映画への愛に溢れた映画であるのは間違いないと思います。
しったか偽善者さん [地上波(字幕)] 8点(2008-06-01 00:03:59)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2011-04-05真夜中の弥次さん喜多さん5レビュー5.32点
2011-01-19神曲9レビュー8.00点
2011-01-19ゆれる6レビュー6.78点
2010-12-11レイクサイド マーダーケース7レビュー5.07点
2010-07-05シークレット・サンシャイン10レビュー7.17点
2010-06-16告白(2010)6レビュー7.03点
2009-05-07おくりびと5レビュー7.03点
2009-05-02グラン・トリノ10レビュー7.87点
2009-04-24スラムドッグ$ミリオネア10レビュー7.09点
2009-04-11レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―8レビュー5.96点
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