2001年宇宙の旅 の ひのと さんのクチコミ・感想

Menu
 > 作品
 > ニ行
 > 2001年宇宙の旅
 > ひのとさんのレビュー
2001年宇宙の旅 の ひのと さんのクチコミ・感想
作品情報
レビュー情報
未来と過去は表裏一体で、相対的に機能する。人間の本質など、その黎明期から1mmも変わってはいない。ある文化人はこう言った、「何千年経っても、人間が問題を解決する手段が『戦争』であることは全く変わらない」。ある科学者はこう言った、「もし第3次世界大戦が起これば使われる武器は核爆弾、そしてもし第4次世界大戦が起これば、使われる武器は棒と石だろう(これは本当に恐ろしい言葉)」。猿が人となり、また更に新世代の生物となろうとも、結局は何も変わらない。過去も未来も同時混在し、混然一体となり、絶対的なカオスの中に全ては存在する。世界は本当の意味で何も変容していない。しかしその根底には、何か得体の知れない究極の原理物質、モノリスを人類に与えた者により企まれた、究極の原理がある。それこそが絶対性であり、人知の及ばない畏怖すべき領域。抗えない1つのプログラム。キューブリックはそれをただ、人間に提示しただけであり、少なくともこの作品においてはキューブリックは「神」ではなく、「預言者」であったのだと思う。それらの者から「言を預かる者」として選ばれた人であったのだと思う。本当の意味では、キューブリックですら、この作品には属していない。誰も属せない。翻弄されるだけだ。そしてこの映画を必死に熟考し、どう解釈するのも、人間が卑小であるがゆえの特権だ。キューブリックは1999年に逝去した。新世代に突入することなく、20世紀の終わりに、自らを過去の遺産とするかのように潔く消えて行った。彼にとって「2001年」は、永遠に汚されることのない未踏の聖域となった。偶然にせよ、それは彼が貫いた究極の美学であったかのように思える。
ひのとさん 9点(2004-02-16 14:52:34)(良:7票)
ひのと さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2008-04-22300 <スリーハンドレッド>4レビュー6.07点
2006-12-03アワーミュージック7レビュー7.40点
2006-07-14隣人13号7レビュー5.46点
2006-06-08ショーン・オブ・ザ・デッド6レビュー7.18点
2006-06-08レプリコーン2レビュー3.00点
2006-06-03LOVELY RITA7レビュー5.00点
2006-06-03ケイナ2レビュー2.85点
2006-06-03EUREKA ユリイカ6レビュー6.05点
2006-05-15mute ミュート(2001)7レビュー5.66点
2006-05-15美しき冒険旅行9レビュー6.50点
2001年宇宙の旅のレビュー一覧を見る


© 1997 JTNEWS