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原作を読んだ後、映画化作品ではサマンサ・モートンがモーヴァンを演じると知り、見逃せないと思った。極端に瞬きの少ない、虚空を見つめるような目。彼女の眼差しはモーヴァンそのものだ。どんな馬鹿騒ぎの喧騒の中でも、モーヴァンは喧騒の外にいる。世界のどこにも属していない。ここではないどこか、世界の外に1人で立っているよう。生々しくありながら、どこか寒々しく乾いた空虚感。絶望とも失望ともちょっと違う。そう、強いて言うなら虚無。そんな虚無感を彼女は言葉少なに、しかし如実に語る。そして、行く道を自分自身で選択し、何かを探しに行く。地に足を付けつつも、どこか浮遊しているような、危うい境界線の上に生きている。それでも、歩いてゆく。「2歳の頃から自分のことは全て自分でやって来た」と言い切るサマンサ。こういう、特別美人でもスタイルが良い訳でもないのに強烈な存在感を放つ若手女優が日本にもいたらいいのに、と思う。ちなみに私、買う気はなかったのに、初回限定仕様のDVDのあまりのお洒落さに衝動買いしちゃった。
【ひのと】さん 8点(2004-02-03 13:14:23)
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