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《ネタバレ》 長期休暇をとって、まるで他人の田舎の家に居候する、という27歳の独身女性(笑顔がやや老けてる)。という設定が提示されるオープニングの瞬間に、この映画に深遠なる深みが生まれている。小学5年生の記憶が勝手についてきたという表現しているが、いや彼女はそうではないだろう。きっと常日頃いつも過去のわだかまりを引きずってきたに違いない。特に病んだときにはトラウマのごとくアベくんが去来したに違いない。21世紀ではこういう女性に最適の薬を精神科で処方してくれるだろうが。タエコは映画で描かれている以上に思い悩んでいたに違いない。
柳葉敏郎、あの男も下心に支配され、蜘蛛のようにタエコに舌舐めずりしていたにちがいない。柳葉からの心情吐露が無いので(描く必要など一切無いが)心中は把握できないが、25歳の独身男性でしょ、トラクターを研修しているときとか、絶対胸がばくばくだったに違いない。 多くの現代オトナたちは、蝶が芋虫の自分を不連続ととらえるように、小5の自分とはまったく不連続の別人と捉えてしまっているのではないだろうか。けれどもまごうことなく現在の自分との連続体であるわけで、現在の自我形成に大きく影響しているはずである。あの帰路の電車、立ち上がり引き返すエネルギーはなみなみならない。その重い腰を上げさせたのが小5の自分であるが、あれはもちろん自分自身の内面なわけであるから、俺はタエコを心の底から祝福したい。 【no_the_war】さん [DVD(邦画)] 9点(2009-07-23 15:59:38)(良:1票)
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