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《ネタバレ》 前半で思い切りむかついた。「(有罪は)顔を見ればわかるじゃない」 なんていう幼稚なことを、法の世界に生きる関係者たちが平気で言いまくる。「黒人=悪人」という先入観を捨てて仕事できないのか!とイライラしていたが、作品の真ん中あたりで問題の青年(犯人)が釈放されて、「・・・あれ?」と内心冷や汗。見事にプロットにだまされた。「私(視聴者)ならこんな下らない先入観で人を犯人とは決め付けない」と思っていたのに、実は自分がさっきまでムカついていた人々と同レベルだったことに気づき、ショックだった。つまり、なすすべもなく集団リンチを受け続けた被害者、その青年の穏やかな目、学を積んできた知的な語りなどで、ああ、この映画は人種差別で苦しむ男性と、差別払拭のために奔走する弁護士の映画なのだな、と思い込んだ。それだけに、真犯人を憎んでいる人々に対して、不快な感情を持ち続けてしまった。つまり、いかにも「らしい」様子に、人間は簡単に気持ちを左右されてしまい、他の意見を全く顧みなくなる。しかし、最も恐ろしいのは、たいていの場合、愚考が間違いであったと気づく頃には、自分の先入観が暴走して周囲を深く傷つけた後だということ。この映画で最も訴えたかったのは、「自分だけは正しい」と決してうぬぼれてはいけないということでは? また、ショーン扮する弁護士が自分の大きなミスに気づいた後、最も連絡したくない相手に間髪入れずに連絡をとったシーンにも深く感動した。真のプロとは、非常時に自分のプライドに左右されず行動をとれることなのだろう。
【tony】さん [インターネット(字幕)] 9点(2010-08-10 09:32:42)(良:2票)
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