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《ネタバレ》 氷点下20度で居眠りをすれば、低体温に陥って死ぬだろう。リフトに乗る時点ですでに空腹の女性が2晩も耐えられるはずがない、など突っ込みどころは満載だが、ずっしりと心に残った作品だった。逃げ場のない高さから下を眺めれば飛び降りられると思うのは本当らしい。その錯覚と戦って、いかに冷静に危機を脱するかという決断力が生死を分けるのだ。リフトに乗る前に聞いた「天候が荒れる」という話をちゃんと覚えていれば、月の出ているうち、思考力、体力のあるうちに迅速に行動すべきだと分かったろう。力の勝る方の男性が支柱へ移り、スキーで一気に下山するというベストの選択肢をとれたはずなのに。リフト券の損得でプレーを要求するなど、遊び優先で冬山の怖さに少しも留意しない。自然に対する彼らの甘い認識が、来るはずもない助けを待っていたずらに時間を費やし、まさに生還できる貴重なタイミングを奪ったのだ。またスキー場を営業する立場として見れば、改善策が見えてきて面白い。営業終了時はその旨を広域放送して客の下山を促し、全リフトに人がいないか光源を搭載した車で点検する。狼が出る山ならば、ゲレンデのあちこちに避難小屋を設置し、緊急電話が無料でつながる設備を整える。自然を相手に楽しむスポーツは、サービスする側、受ける側の危機意識なくては始まらない。
【tony】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-01-04 10:47:12)(良:2票)
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