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《ネタバレ》 本来は交わることはない時空が異なるパラレルワールドが交わっちゃってる、時に痛快、時に抱腹絶倒、時に考えさせられる作品でした。そう、日本はどんな歴史的な出来事だってそこから何かを汲み取って今の人々やこれからの日本に存在するようになる日本人の生きる糧にしてしまうのだから誰かがタイムスリップしなくても充分に何千、何万ものパラレルワールドが織りなす時空の中に住んでいるのと同じなのです。同じことを古い文明の担い手の子孫たち、例えばエジプト人やペルシャ(イラン)人やインド人も感じているのかもしれないけれど、残念ながら地球上には価値ある遺産、特に建造物など物質的なものをダム建設やらで平気でブチ壊す民族のみならず、「~だったら良かったな。」をそのまま歴史にしてしまうバカ民族までいます。作品中で高坂が住職の奥さんが差し出した苺のショートケーキを一口食べて涙し、日本は豊かな国になったと言うシーンが印象的でしたがあんなんどこのコンビニにも売ってへんかとも思います。それより京都言うたら和菓子やないか! 千年前に紫式部が食べたお菓子まだ作っとんやないか? この時点で高坂はまだ会津藩城下の悲惨な末路は知らないわけですが⋯。そう、わたしたちは間違いなくご先祖さまが築いた圧倒的な価値ある遺産と因習などほんの少しの悪い遺産、そして未来への希望や期待などが何重にも交差するパラレルワールドに、今気づいたり経験していることだけが唯一の現実だという錯覚と共に生きています。でも本当はその錯覚が間違っていると無意識下でわかっているからこそ神社にお参りしたりお寺を訪ねたり博物館や美術館に行ったりするのです。ストロベリーショートケーキがあってもなくてもわたしたちはとても豊かなのです。閑話休題。東京国立博物館収蔵の古文書のうち読解ができる専門家が内容を明らかにしたのは約三分の一だけだそうです。人材不足のせいで今大人になっている人で死ぬまでに全部の調査結果に接する人は恐らくいないでしょう。でも全部が解読された時に日本は今より豊かでしょうか、それとも貧しいでしょうか? 想像できる方が答えです。
【かわまり】さん [映画館(邦画)] 9点(2025-01-22 18:32:09)
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