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《ネタバレ》 ここの文字数制限じゃ、本作の抱えてしまった深い業を書ききれるわきゃないんだが…表面的に書いてみようかと。クライトンの原作は、彼にしては珍しく「本気」で書かれている。彼の、科学技術を魔法と区別しようとしない輩への深い怒りが、これを書かせたんだと思う。このハナシは決して「現代科学はいよいよ恐竜を復活させる事ができるレベルに達したが、それはやってはイケナイ事なのだ」なんて悠長なテーマじゃなくて、「現代科学で恐竜復活? 確かにできるけど、できちゃった奴らは現代科学じゃコントロール不可能だよ」という、技術の暗黒面がテーマなわけだ。一言で言うなら初代ゴジラの真摯な部分を受け継いだ硬派怪獣SFなのだ(オキシジェンデストロイヤーが登場しない分、より怖い)。これこそ複雑系科学が言おうとしている根本部分なのだが、スピルバーグはあったり前のように「そうゆうテーマって子供にわかんないよねー、夏休み映画だしカットしちゃお」と思いっきりカットしくさった。原作者クライトンは脚本もやってるんだが、インタビューでは「映画になる以上はカットしないとね」と完全に業界人モード(魂を売りやがって…くぉの…)。そうして完成した映画は、皆さんご存知の通り、映画の歴史を変えてしまうエポックになった。ジュラ1以降、CGIのない特撮は考えられなくなった(この映画は比較的低予算だ)。この変化は決定的で、圧倒的だ。『ジュラシック・パーク』はCGIという恐竜をハリウッドに放った映画だ。…さて、それから10年。映画界はこの恐竜を手なずけたか? NOだ。結局のところ、原作の通りになってしまったのだよ。放たれた技術は、映画というメディアには荷が勝ちすぎるような気がする。大陸に渡って、欠陥のある遺伝子でも生き延びられる方法を見つけ、人類の手からすり抜けていったラプトルのように。垂れ流されるCGによってハリウッド映画がハリボテの安リメイクしかできなくなったんだとしたら、それはスピルバーグとクライトンが「だって子供向けアドベンチャーだよ!」「うんうん! そうだよねー」と話し合ってた頃から決まっていた宿命に違いない。あいつら二人が映画の遺伝子を書き換えてしまったんだよ。
【エスねこ】さん 3点(2004-11-17 00:17:02)(良:2票)
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