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《ネタバレ》 信じるもの、心惹かれるものがことごとく壊されて行く少年期。絶対の強者なき流動的社会。極東のエキゾチックな混合文化。《世界一冷酷な状況観察者》J・G・バラードはそこで誕生した。スピルバーグが頑張って与える彩りも、最後には全て無に還っていく。この虚脱感、そして虚無感。ラストはまさにバラ色の絶望と呼ぶにふさわしい。この後、成長した彼が「世界の破滅」ばかり描き続けたのは、こうした理由のある事だと納得できる。彼の小説には決して悲惨さはない。彼は反戦家ですらない。他の同世代の子供達と違い、バラード少年はこの時、傷ついたのではなく悟りを得てしまったのだろう。スピルバーグは、求道者が老僧へ教えを乞うように、バラードから悟りを授かりたかったのかも知れない。後に『シンドラーのリスト』を撮った時の彼の視線は、バラードのそれに、かなり近い。
…てゆーかそこまで入れ込んだんならだよ、儲けた金で『ハイライズ』とか『結晶世界』とか『残虐行為展覧会』とか『コカイン・ナイト』とか『コンクリートの島』とか映画化してやれよ~! いまだにバラード作品の映画化はクローネンバーグの『クラッシュ』だけっつー悲惨な状況なんだからさー。 ●追記:そう思ってたら、ナタリ監督の次回作が『ハイライズ』ぅ? 大道具費削減王ナタリか…また『クラッシュ』みたいにババかもな…健闘を祈る。 【エスねこ】さん [映画館(字幕)] 8点(2006-05-06 05:50:01)
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