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あれだけ『エド・ウッド』を誉めておきながら、こちらにレビューを書いてなかったのに今さら気付いた次第。この映画の異様な点は(トーキー初期だから仕方ないというのもあるが)BGMがほとんどない点。この頃は役者の演技力だけで勝負しなければ、観客を引っ張っていく事はできなかった時代(同時期の参考例として名優ジョン・バリモア主演『悪魔スヴェンガリ』/ピーター・ローレの熱弁が光る『M』/本作と同じ監督の『フリークス』を挙げておきますね)。で、本作のベラ・ルゴシ。巧い。底知れぬ、胸に染み入る、病的な静謐。もちろん他の役者(ドラキュラ側の奴ら)の演技も巧いので、監督トッド・ブラウニングの力もあるとは思う。だがルゴシの演技はそういうものを超えている。演技じゃなく、本物じゃないかと思う。つまり世界大戦の傷が癒えない時期の、「東欧」という病んだ土地・歴史が持つ本物の迫力なんじゃないかな、と(これは最近『ヴェルクマイスター・ハーモニー』を観て再認識したコト)。惜しむらくは、全体を通してハーカー君にちょっと華麗さが欠けてたのと、ヘルシング教授まで陰気臭くなり過ぎてた点が残念かな。彼らは光の側を代表する人物なんだから、ドラキュラ伯爵に押されるだけじゃダメでしょー。
【エスねこ】さん 7点(2004-05-23 17:19:27)(良:1票)
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