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正直子どもの頃に観てもいまいち、だったけれど、大人になってからは素直に楽しめる。今になると、カンタのいかにも男の子って感じの、ひねくれた可愛さもわかる(ファニング姉妹が声優を務めている英語版をちらっと観たら、カンタがちょっとおしゃべりになっていて興醒めだった)。
あと、階段の上り下りの場面などに観られる子ども特有の動き、細かな描写に改めて感心する。さつきが縁側から上って膝で座敷を歩く動作、そういえば子どもの頃、これを真似してやるようになったのだった。あの妹が教室に来てしまう場面も、わかる(うちの妹がああだった)。泣くときに顔がくしゃっとなる、あのリアリティもすごい。 大人になって初めて、この映画のよさがわかった気がする。子どもの世界に忠実すぎるあまり、ほんとうに子どもだと普通に流して観てしまうのだと思う。 また、世界観がすごい。大体にしてトトロもまっくろくろすけもねこバスも、同じような妖怪・妖精の類が伝承にあるわけでもない(トロルは名前が似てるだけでまったくといっていいほど違う)のに、普通に日本の田園風景に馴染んでしまっている。日本伝統のお化けというならわかるけど、宮崎駿の頭の中からひねり出された新参者の妖精たちが、なんの違和感もなく日本人に受け入れられてしまう。何気に、これは驚異的なことだと思う。田舎に親しみ、自然に同調するまでに豊かな感受性がなければこんなことはできない。 舞台は地名だけは関東地方のものをもじっているものの日本各地の風景を合成したものだそうだし、時代にしても特定の年代を象徴する描写はあえてされていない。日本人の心の底に眠るノスタルジーを汲み取って、結晶化した世界なのだ。宮崎駿のほかに誰がこんなことをできるだろう? 【no one】さん [DVD(邦画)] 9点(2008-08-17 18:40:21)
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