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「フィンランド人ってなんでゆったりしているのかしら」という疑問に対してフィンランド人が、「森がありますから」と答える場面がある。で、実際に森に行ってみて、たいしたできごともなく、せっかく採ってきたきのこも落としてしまったのに、「よかったわぁ」と満足できてしまう。この映画全体が、そんな存在だった。
劇的なドラマもなく、人生の深遠に対する考察もない。だけど単純に居心地が良くて、忘れ難くて、またいつか観返してもいいかな、と思えた。「世界の終りに何をするか」という問いに対して、「好きな人たちとおいしいものを食べる」と答えられる単純さ、素晴らしさ。そうそう、なんだかんだ言ってそういうことが一番大切なんですよね。ありふれた日常の価値を噛みしめる力というものが。 役者さんがまた良い。ちょっと失礼な言い方ですが、これが美女三人組であればこうは行かなかったでしょう。片桐はいりの外見はたくましくて内面は繊細すぎるというキャラクターは、なんだかムーミン谷の住人を思い起こさせる。脇役みんなにも言えることだけど、これといった長所もなくむしろ欠点の方が目に付くのに、妙に可愛らしくて魅力的だったりする。不完全なものに対してあれこれ批評するわけでなく、やんわりと受容してしまう大らかな空気がある。 毎日が多忙で鬱病になりかかっているような人におすすめ。森林浴をするように安らげる作品です。 【no one】さん [DVD(邦画)] 8点(2006-12-16 10:46:57)(良:1票)
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