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すごくドラマチックな出来事が起きるわけではないんだけど、このほんの数日間が二人の人生にとって特別な時間になることがわかる。無気力で弱い中年男と、身勝手な母親にふりまわされる少女の間に、不思議なくらいに深い共感が絆をつなぐ。アリスが連続写真を眺める場面はいい。似たようなエピソードは他の映画でもあるけど、この映画が一番無垢で、嘘がなかった。冒頭は色彩に欠ける寒々としたモノクロだと思ったが、後半になると白い日差しが中心になった温かいモノクロになる。心にしみわたるような、やわらかくて淡い光がある。
また、アリス役のイエラ・ロットレンダーがすごく魅力的な空気を持っていた。気が強くてわがままで、でも寂しがりやで健気。無邪気で可愛らしく、だけど微かに女性を感じさせる微妙な年頃でもある。とても美しい子だと思った。フィルが守ってあげたくなるのもわかる。 優しく、素敵な作品だ。この映画には川原で拾ったきれいな石のような、素朴で手のひらに馴染む柔らかな美しさがある。 【no one】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2006-03-17 15:34:49)(良:1票)
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