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エイリアンの造型、設定はもはやひとつの芸術で、これについてはもはや何も言うことがない。あの異形の、しかし魅力的な怪物は映画ファンの記憶にいつまでも留まり続けるだろう。
ストーリーはホラーの常套を踏んでいるようで、『ブレードランナー』のようなハードボイルド的な渋い演出が多い。登場人物が一人ずつ死んでいくのは確かだが、いたずらに派手な死に方をさせるのではなく、静かに、非情に殺されていく。息が詰まるような暗闇の閉塞感のなか、たった一人で怪物と向き合わなければならないあの緊張感には吐き気すら覚えた。 音楽と音響の使い方がまた超一流。怖い場面で派手で陳腐な音楽を流したりはしない。個性的でなおかつ映像とマッチする音楽もすごいが、ここぞという場面ではむしろ沈黙が神経に響く。呼吸、衣擦れ、機械の作動音、エアロックから漏れる空気の音、時計が秒を刻む音――普段はなんでもない音が大きく感じられ、神経は今にもぷちんと切れてしまいそうなほどに張り詰める。自分の心臓の音さえ聞こえてきそうな気がした。 ところで、エイリアンのデザインなど、性的な要素が盛り込まれていることも興味深い。かの『エクソシスト』が、ロウソクの燭台の影を男性器に似せたりして人間の潜在意識に強く訴えるようなイメージで恐怖を促したというが、こちらの方がずっとあからさまである。 【no one】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-10-05 17:12:13)(良:3票)
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