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子供の頃、クリスマスプレゼントに『君をのせて』のCDをもらった。それが生まれて初めて手にした自分のCDで、だから別にアニメ好きでもないのにいまだにテーマソングを歌うことができる。大昔に観た映画は心の中で理想化されているからほんとは高得点をつけたくないのだけど、こればかりは仕方がない。朝日の射す谷に響き渡るラッパの音だとか、トーストの上にのせた目玉焼きの味だとか、毛布に包まって二人で話したときの空の色だとか、ひとつひとつの場面がまるでかけがえのない思い出のように記憶に刻み込まれている。単なる映画のはずなのに、この作品に限っては視覚から味覚まで、五感のすべてで感じとっていたように思う。子供たちはいやおうなく物語にひきこまれ、男の子はみんなシータに、女の子はみんなパズーに恋をしていた。胸が躍る最高の冒険の後には、ハッピーエンドというにはあまりにも切ない、胸を引き千切られるような痛みが残った。二人と別れることはほんとうの友達と別れるように悲しく、寂しいことだった。幼年時代にこの作品と出会うことができたのはとんでもない幸運だったと、今にして思う。
【no one】さん [地上波(字幕)] 10点(2005-12-29 17:25:34)(良:4票)
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