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《ネタバレ》 これを始めて見たのはまだ小学生で、日曜洋画劇場だったと思います。見終わった後、ドキドキと悲しさと一気に去来したような悲しい気持ちになった事を覚えています。その時、ラスト・シーンと共にもうひとつ、忘れられなかったのが、「カチカチに固まった犬の死体」(ご覧になった方ならきっと分かって戴ける筈!)でした。まるで、プラスチックのような固まりみたいになった愛犬の死体を、ポーレットが大事そうに抱えている姿。『ああ、死んだらあんな風になってしまうのか』と恐怖に怯えました。あの形が死の象徴のように思えたんですね。今、大人になって数年前見返したら、やっぱりその描写はショッキングでした。爆撃で一瞬のうちに撃たれて動かなくなった彼女の両親達と同じように。余りの呆気ない殺され方だからこそ、現実感があり恐ろしさも増すんですね。これは「シンドラーのリスト」の中で、ユダヤ人が殺される描写を見た時と同様のものです。ポーレットが少年と一緒になって、死体を集めて埋める行為は見ていて余りに悲しく、いたいけで、そして恐ろしささえ感じました。そこには、純真とは裏腹な子供の持つ無機質なものがあるからかも知れません。本当の「戦争」「死」というものは、その後にもっと生々しく張り裂けんばかりの悲しみがあることを大人は判っているからでしょうか。この映画は静かな残酷さを持って私達に、反戦を訴えていたような気がします。ラストの彼女の叫び声でその静けさが打ち破られたような思いがし、母を追って消えていった姿の先を思うといたたまれない衝動に駆られて・・苦しくなってしまう。反戦映画の傑作として永遠に忘れることの出来ない作品として、やっぱり10点満点を。
【popo】さん 10点(2004-02-29 01:44:35)(良:1票)
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