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《ネタバレ》 近年の映画で、ただ単に空港で出国する過程のシークエンスをこれだけ緊迫感をもったシーンに昇華させた例ってないんじゃないかな。ド派手なアクションや設定やCGを用意しなくても、その背景と登場人物が置かれている状況を丁寧に描けば、観客をドキドキさせることができるという、エンタメ映画の教科書のような佳作。もちろん、この映画にはイラン側の視点が欠けていて、アメリカ側の一方的な描き方だという、そういう前提で見るべき映画だと思う。しかし、アメリカ側の一方的な視点のなかでも、イランの人々が時々魅力的に描かれる点も付け加えたい。たとえば、ラストの空港の革命防衛隊の男。もっとも反米的なはずの彼が、映画撮影班だという一隊に最後に隙をみせてしまうところ。映画の絵コンテを興味深そうに見る男たち。もともと、すべての人たちを「公平に」描くことが難しいのであれば、今作のような方法は、ある意味、潔く、だからこそ描けているものもあると思う。ただ、アカデミー賞取っちゃったのは、ある意味、まずかったかも。この映画の潔さが、政治の文脈「のみ」で非難されるのは、ちょっと悲しい。
【ころりさん】さん [映画館(字幕)] 8点(2013-03-11 06:04:01)(良:1票)
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