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中学生の時、犬が死んだ。名前はジョン。彼は生まれたその日から6年間、コバ香具師家の一員だった。大好きだった。毛むくじゃらで、いつも尻尾が上を向いてて、俺が学校から帰ると飛び跳ねて喜んだ。でも事故で突然死んだ。初めて家族の前で声を出して泣いた。目の前が墨汁を流し込まれたように真っ暗になった。もうどうしていいか分からず、ただただ泣いていた。その夜、ジョンが生き返る夢を見た。嬉しくて泣いた。でも夢だと気付いてまた泣いた。その時の父親の言葉が今でも胸に残っている。「動物でさえこんなに悲しいんだ。人間だったら……」。俺が本当の意味で「21グラムの重さ」を知ったのは、その時だったように思う。21グラムなんてのはただの数字でしかない。けどその21グラムが人に与える影響は計り知れない。誰かの21グラムが誰かの21グラムへ影響を与え、それが繰り返され、新たな21グラムが生まれ、どこかで21グラムが失われる。そんな当たり前のことをみんな時々忘れそうになる。この映画は、その「当たり前」を執拗なまでに我々に見せつけてくる。映画では21グラムを失うことによる苦しみが描かれていた。でもそれは21グラムの重さを表現するための一つの手段でしかなく、裏を返せば21グラムがそこにある喜びもまたこの映画から滲み出ているじゃないか。だから俺は俺の21グラムを、そしてみんなの21グラムを大切にして生きて行きたい。そう心から思える今だからこそ、ジョンのこんな声が聞こえて来る気がするんだ。「俺は犬だから多分13グラムくらいだと思うぞ」
【コバ香具師】さん 7点(2004-11-27 08:26:31)(良:3票)
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