赤い風船 の くなくな さんのクチコミ・感想

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赤い風船 の くなくな さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 赤い風船
製作国
上映時間34分
ジャンルファンタジー,ファミリー,ショート(短編映画)
レビュー情報
《ネタバレ》 まるで上質の絵本のような作品です。まず「ここなんて町?」と知りたくなります。パリのモンマルトルと分かるとただ下町の雰囲気や匂いを満喫するのみ。安っぽいアニメーションで作れそうだけど、やめて下さいね。それにしてもなんて可愛くてお茶目な風船なんだ。出会いのシーン、あれは男の子が風船を助けたんじゃなくて、絶対風船が男の子を待ってたんですよ。その後も男の子の気を引こうとすれすれのところで身をかわしたり、隠れてみたり、教室や教会に入り込んで追い出されたり、あの女の子の青い風船とのシーンは40秒しかないのに映画史上屈指の名場面になってます。あんな友達と一緒なら憂鬱な雨降りが楽しくて、思わず雨上がりの町を一緒に駆けていきたくなりますね。大詰めなんて悪ガキ達が極悪人に見えたほど(苦笑)。男の子は手を離したのに風船は彼を心配して遠くへ行けない、その結果当たったパチンコが致命傷でゆっくり地面に落ちていく。子供の世界じゃこんな大変なことが起こっているのに大人から見ればただ風船をめぐって子供が無邪気に遊んでいるようにしか見えないんですね、特に常識ある立派な学校の先生は。そんな先生に対し、風船は仕返しするわけでなし、軽~く頭を小突くだけというところが素敵です。こんな風船はけしからんと捕まえようとする先生から痛快に身をかわし、今度は見ないフリしますが風船は見透かしたように彼の後をついていきます。「こりゃ一体なんだい?」「いや、なんでもないんだ。ではまた。」そんな会話が聞こえてきそうで生真面目先生すら微笑ましく映ってます。風船を殺した悪ガキたちに対しても同じ、仕返しなどしないで、風船の死を悼む男の子の元にだけ大勢で集まり、一体感に包まれながら空へ浮かび上がる。この映画に理屈も台詞も必要ないし、映画に特にラストにどんな解釈をするかは各人の自由です。少なくとも妙に懲りすぎる最近のアニメやファンタジーが持たない素晴らしさがあります。本当に風船に演技させた作家のラモリス監督の手腕と人情味豊かな古き良きモンマルトルが見事に融合していて、子供のうちは勿論、大人になっても手元に置きたいと思わせる絵本です。
くなくなさん [ビデオ(字幕)] 10点(2005-11-15 03:41:56)(良:1票)
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投稿日付邦題コメント平均点
2009-07-15北北西に進路を取れ8レビュー6.99点
2009-06-10用心棒9レビュー7.97点
2009-04-30赤い河8レビュー7.70点
2009-03-31雨月物語8レビュー7.40点
2009-01-14キートンのセブン・チャンス9レビュー8.62点
2008-09-11ブリキの太鼓7レビュー6.85点
2008-09-03天空の城ラピュタ6レビュー8.72点
2008-06-16赤ちゃん教育6レビュー6.55点
2006-07-27波止場(1954)9レビュー6.32点
2006-07-10ウエスト・サイド物語(1961)9レビュー7.13点
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