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《ネタバレ》 僕たちは、映画史を学ぶために映画を見ているのではなく、想像力を刺激してもらったり、楽しんだりするために映画を見る。だから、映画史的に画期的な作品であっても、つまらないと思える作品は少なくない。・・・・・こうしたアングルは画期的だったとか、史上初のカラー映画だったとか、言われても、現代では珍しくないことならば、映画の面白さを増してはくれない。・・・・・そういう意味では、この映画は、すぐに面白い、と思える作品ではない。僕も、BSから録画して、見終えるのに3日かかった。・・・・とはいえ、次のように考えると、味わいの深い映画だ。 ・・・・テーマは、必然である死を前にしての二つの生き方の対比。昭和10年代だ。男は、30歳まで生きられる見通しは明るくない。誰もが戦争での死を覚悟していた。冒頭の長屋での縊死は、そうした必然としての死をはっきりと示している。・・・・そうした中、新三は、あくまで権威に抵抗し、人々と楽しく、自分の人生を潔く謳歌しようとする。海野は、権威におもねることで活路を見いだそうと、無駄な努力をしている。二人とも、必ず死ぬことになるのだが、どっちの人生を選ぶのか。・・・・個人的には、ラストの紙風船の映像については、まあ、あってもいいけど、「そんなに斜に構えて、無情を力説しなくてもいいじゃん」と思った。
【王の七つの森】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2009-11-15 12:27:49)
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