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ふだんの生活で、真面目で勤勉だったり、大らかで冗談が好きだったりする、普通の大人達が、環境の変化から、暴力的で、抑圧的で、理性を失ってしまうようになる、という正気から狂気への信じられないような展開が、非常に説得的に描かれていたと思います。、、、、これがナチの支配体制であり、かつての東欧の社会主義体制であり、現在のイラクの刑務所で行われていることなのでしょう。、、、、どんな戦争映画よりも、戦時体制の抑圧性を想像力豊かに描いているともいえると思います。、、、、、また程度の差こそあれ、今の私たちの会社組織や、サークルでも、類似したことが進行しているのかもしれません。例えば、妙に真面目で想像力の欠けた奴が、会社の部長や課長になったり、サークルの幹事や会長になったりすると、突然、部下や会員に対して職権を振りかざし、自分は絶対に正しいとして抑圧的になったり、、、、、、。唯一気にくわないのは、題名。せっかく様々な想像的要素が豊に備わっているのに、それをフロイト的に「エス」とくくって説明したのでは、想像性が一気にしぼんでしまう。封建的家父長制家族を背景としたフロイト理論に拘っていては、暴走する現代を捉え、未来を構想する手がかりとすることはできませんっ。(父というのは神のメタファーであり、またフロイト理論ではスーパーエゴを形成させるものですから、ドラの父の死は、この劇中での神や規範の不在を予兆しているわけで、、、とか一元的に整理しちゃうと、話に豊かさがなくなってしまうわけです。)
【王の七つの森】さん 10点(2005-02-07 15:01:56)
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