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《ネタバレ》 単なるアクション映画かと思っていたら、現代韓国流にアレンジされたオイディプスでしたね。オデスという名前も、オイディプスに由来しているのでしょうか。、、、、、、最後のオデスとウジンの対峙、そしてオデスの慟哭、懇願、、、、思わず目頭が熱くなり、野村萬斎さんのギリシアでの公演を思い出しました。(もちろん見たのはテレビですが)、、、そしてチェミンシクの演技は、萬斎氏の演技よりも深く、悲しいものにも感じられました。、、、、、、でもどうして、言葉でいわれ、それらしい写真を示されただけで、ミドを娘だと信じることができるのだろうか。そこには言葉が私たちに対して持っている暴力的な力が見事に表現されています。、、、また、娘と交わることが、どうして舌を切るほど深い慟哭に値するのだろうか。そこには私たちが属している共同体の文化が私たちに強い影響を持っていることが端的に示されています。、、、、でも、そうした価値意識は、何も考えずに、変えがたいもの、当然のこととして承認してよいのだろうか。そういう疑念は、この映画にも提示されているように思います。、、、、、ラストの二人です。氏族制度を軸とする伝統的な価値意識に執着するならば、仮に記憶をなくしているとしても、ラストは許し難いものに受け取れるのではないでしょうか。しかし、私は、慣習や言葉の牢獄から、完全に脱することはできなくとも、少しでもそこから脱し、より人間的な生を実現したいという意志を、ラストの二人、そしてそれを取り囲む冬山の情景から感じ取ることができるのではないかと思いました。つまり、運命の前にただ頭を垂れるのではなく、何とかして、少しでもそれを切り開こうとする意志です。
【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-05-16 23:46:02)(良:1票)
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