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《ネタバレ》 前半の訓練と後半の戦場で作風がガラリと変わりますが、前半はとにかくハートマン軍曹が素晴らしすぎます。「じじいのファックの方がまだ気合が入っているぞ!」が一番面白かったですが、ピー音を入れなくていいのか?とも思える物凄い罵倒の嵐には爆笑してしまいました。しかし、ここで行われている事は決して笑える内容ではない。戦争さえなければ普通の明るい若者達の明るさや個性を殺し、冷酷な殺戮マシーンを大量生産していることに他ならない。そしてそれに耐えられず壊れていく若者が特に印象に残りました。後半、ベトナムに舞台は移る。こんな訓練を受けた若者達の人を殺すことへの感覚が麻痺していく様子、ベトナムの狙撃兵の女性を撃ち殺したジョーカーの表情等を通して実際の戦闘シーンは少ないですが戦場の狂気、戦争の恐ろしさが伝わってきます。ラストシーンでミッキーマウスのマーチと共に流れるジョーカーの声、「もう恐れはしない」とは己の死への恐れでもあり人を殺す事への恐れなのでしょう。戦争とはこうも人間を変えてしまうものなのか。 前後半を通して人間性を破壊していく戦争の恐ろしさ、愚かさを一貫して描いた反戦映画の傑作だと思います。
【とらや】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-01-31 02:29:55)
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