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21歳の夏、気が付けば映画館でこの映画を眺めていた。映画館の扉を開けたのは、自らの意志ではない。かといって誰かの意思でもない。不可抗力、そう、神による演出だったのだ。映画は吹き替え版。スクリーンでは必死のコメディーが展開する。しかし、笑えない。「小学生レベルのギャグじゃないか」と憤る。辺りを見回すと、親子連れの子供だらけ。物語は展開していく。しかし、まるで引き込まれない。内容はあるようでまるで無い。「子供騙しの映画じゃないか」と、ふと視線を逸らすと横にも前にもスクリーンに見入っている子供がわんさか。私は悟る。「この映画は間違っちゃいない、私が間違っていたのだ」おとなしく席に着き、映画を眺める。気付くと、エンドロール。そして、私はスクリーンに背を向ける。出口へ向かいながら、心の中では盛大な拍手を贈る。ある夏の日の過ちでございます。
【はざま職人】さん 2点(2004-07-21 22:51:42)
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