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原作や荒戸監督の前作『赤目四十八瀧心中未遂』の印象から勝手にイメージする陰鬱なムードとは裏腹に、冒頭の岩木山を望む津軽の場面を始めとする明るい屋外シーンの多さや、主人公を取り巻く錚々たる女優陣の豊かなバラエティもあって、どこか陽性の印象が強い。
『ファザーファッカー』ほど派手ではないにしても、CGによるイメージシーンの多さもさらに映画に華やかさを添えている。 販売戦略としてのアイドル映画という側面もあるのだろうが、良い意味で無色な新人・生田斗真のキャスティングによって映画版のほうは達者な脇役陣の中でより一層主人公の空疎な存在が体現されることともなった。 太宰の時代として昭和初期を再現するロケーション・美術も『ヴィヨンの妻』以上に充実し見事な出来だ。 葉蔵(生田)と良子(石原さとみ)が暮らす木造二階建ての部屋から、夕景の推移を丁寧に見せる画面の風情などは非常に印象に残る。 灯の揺れや細やかな音使いも前作同様にデリケートで端正だ。 五輪中継などの時代描写は少々説明過剰か。 【ユーカラ】さん [映画館(邦画)] 6点(2010-03-17 21:06:50)
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