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検閲の厳しいイランを離れ、イタリア・ルネサンスの地で表現される女性のエロティシズム。
それをジュリエット・ビノシュが艶めかしく体現する。 車のフロントガラスを流れていく街並みと空、そこに重なる車内の男女の像。ガラスや鏡を介した複写の主題も、レストランの窓ガラスや化粧室の鏡から、オートバイのミラーへの反射に到る細部まで手が込んでおり、迷宮感すら催す。 ウィリアム・シメルが登ってゆくホテルの階段の深い暗がりと、窓から差し込んでくる微かな陽光の推移など、光に対する感性あふれる画面にも魅了される。 画面奥の空間を示唆する多層的遠近感の演出も、ルネサンス絵画技法の映画版というべきか。 そして、雷鳴・風音・鳥の羽音・鐘の音色がもたらす豊かな空気の震えも聞き逃せない。 【ユーカラ】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-03-05 21:51:41)
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