カリートの道 の 映画の奴隷 さんのクチコミ・感想

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カリートの道 の 映画の奴隷 さんのクチコミ・感想
作品情報
タイトル名 カリートの道
製作国
上映時間144分
劇場公開日 1994-04-23
ジャンルアクション,ドラマ,シリーズもの,犯罪もの,ヤクザ・マフィア,小説の映画化,バイオレンス
レビュー情報
《ネタバレ》 ブライアン・デ・パルマという監督を知っているか?

いや、今日は久しぶりに本作を観た。
人は生きてると、追いつめられる事がある…
そんな時こそ、これを観て欲しいと思う映画だ。

仕事でもそうなんだ。

――「こんなはずじゃなかった…」

――「あの時、ああなったから…」

――「アイツが居なきゃ…」

時間が経過すりゃ反省する事もあるが、こんな思いになる事があるだろう。
俺も、多分…過去はそうだったと思う。
けど、早いうちに、俺は最悪と共に「その考え」を変える事が出来た。

それは、過去…癌に掛かった時だ。

癌に掛かると逃げ場のないエリアに追い込まれる。
散々、癌の時にも上記の事を散々考えた。

けど、どうにもならず…頭に描かれたのは信長公の言葉。

――是非に及ばず。

要は、仕方ない…そう考える事だ。
そりゃ、文句や言い訳もあった…無限に。
けど、考えて考えて考えて…何度も何度も思考は辿るが、結局のところ自分なのだ。

結局は、人は変えられないが自分は変えられる。

この思いを含めて更に考えてみる。

世の中には自分しか居ない訳じゃない。
そして、天候が変われば晴れや雨にもなるのが道理。
素晴らしい世界がたくさんある代わりに、想うように進まない事が殆どと知るべきだ。

けど、諦めるって意味じゃなく、どこを基本に置くか?の問題。

そう――是非に及ばず、だ。

人生は、考えていた基本形で物事は進まず…色んな事件が付加したり、様々な人間が絡んでくる。
その突発的な出来事すらも絡めて、物事を進めていく…それが人生であり”道”なのだ、と思う…。

さて、カリートの道。

尊敬する監督…ブライアン・デ・パルマの逸品だ。
監督の作品を辿れば…ヒッチコックに導かれたような数々の名作を知り、ジャンル問わず時代を駈け廻っていたと知る。
いや、様々な娯楽映画を創りながらも中でも、俺は「スカーフェイス」や「アンタッチャブル」が大好きで堪らない。

険しく切ない…男の道。
そして…時に現れる怨敵と困難の世界。
回避すべき世界を壮絶に観せて男が葛藤する…それが名将がデ・パルマ監督の作品だ。

デ・パルマの世界に触れるだけで俺は震える。

言わば、アレだ。
人生経験よりも時には得るものが多い。
俺にとって、だけど…そんな名画を創る監督だ。

さて、簡潔にカリート・ブリガンテの人生を辿りたい。

元麻薬王のカリートは友人弁護士の力で出所し、自力での更生を誓う。
正しく生きる為、周囲の誘いも断り…悪しき道に通ずる関係を断ち切ろうとした。

けど、現れる困難。
殺しの現場、悪意への誘い…その度にカリートは思う。

「この困難は、先に進む為に仕方ないことなんだ…」と。

だが、人としての義理、己の信念を果たそうとすれば、周囲や状況はそれを許さない。
一体、彼の進む道は…どこに向かうのか。

そして、彼の進みたかった道は何なのか?
ただ、一生懸命に道を歩きたかった…カリート。

――更生後の素晴らしい世界。
――愛する者と一緒に居る世界。

人を裏切らずに暮らそうとする彼が…疑念で敵に追われる様が…観ていて、ただ苦しかった。
きっと「これは俺の道じゃない…」と思いながら藻掻くカリート。
逃走せずに、己の道を探す彼…そこが「カリートの道」なのだろう。

想えば、カリートの道も、スカーフェイスもそんな映画だった。
例えようのない困難、人による鬩ぎ合の中で巻き込まれてゆく…そんな不条理の嵐…その嵐に立ち向かって生きてゆく。

けど、一方のアンタッチャブルはどうか?
財務官のエリオット・ネスは出向先の警察に散々裏切られ苦汁を飲む。
けど、そんな中でも彼は決心する。
己のプライドを捨てて、敢えて警官の中に飛び込んだ。

そして、マローン、マローン、そしてストーンら仲間を得て、命を賭して…暗黒街の王アル・カポネを追い詰めたのだ。

この突発的な出来事も人生だ。

受け入れる。
困難も祝福も、すべてすべて受け入れる。

そして時に振り返り、こうつぶやくのだ。
これが俺の道だ、と。


そう――是非に及ばず。

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映画の奴隷さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-02-15 12:23:47)
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