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《ネタバレ》 パステル調の住宅・衣服、メルヘンチックな音楽とは裏腹に人間の暗部が強烈に描かれているティム・バートン流のおとぎ話。ファンタジーではありますが、その内容は現実と重なります。自分達とは違うエドワード。初めはその特異な風貌に興味を抱き観察し、利用できると分かるととことん利用、賞賛さえする。だが、わずかな出来事で手のひらを返して非難を始める人々。現実の社会でも日々同じようなことが繰り返されています。異質なものを集団で排除する機能。集団の結束の確認。そこには個人の意思とは別に集団の意思が存在します。人間が安全に生きていくために獲得した知恵かもしれません。しかし、このことに嫌悪を感じるのが普通だと思います。「エドワードは悪くない」「なんて酷いことをするんだ」そう感じます。なぜなら自分とエドワードを重ねているから。排除される恐怖をいつも感じているのが人間だからです。結局エドワードは街外れのお城に戻ります。誰もいない廃墟。そこが安住の地だという悲しい現実です。自分の意思に反し人を傷つけてしまうハサミ。同時に彼の心も傷つきます。一人でいれば人を傷つけることもなければ、自分が傷つくこともない。ただ、誰とも出会わず傷つくことのない人生より、愛する人と出会って傷つく人生のほうが遥かに素晴らしい。それがこの物語の救いです。
【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 9点(2006-06-19 18:24:28)(良:3票)
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