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《ネタバレ》 (ネタバレあります。ご注意ください。)もう30分尺を足してスヒョンと婚約者の関係性を描写していたら、もっと主人公に感情移入できたと思う。本作のアプローチはやや手緩い。もっともコレは観客に対する気遣いかもしれない。正面から受け止めるには、結構な精神力の要る物語でありました。『悪魔を見た』の悪魔とは誰を指すのか?強姦殺人狂のギョンチョルか。確かに奴の所業は畜生にも劣る。でも欲望の赴くまま、場当たり的に犯行を重ねる様に狡猾さは無い。印象としては我侭な子供。では復讐者のスヒョンはどうか。敵を追い詰める眼差しには確かに鬼気迫るものがあった。執拗な暴行にも躊躇がない。でもトラブル発生時の対応策を考えていなかったのは間抜けだし、反撃について考慮していなかったのは愚の骨頂。スヒョンもまた目的達成のため、周りが見えなくなっていた子供です。2人がやっていたのは、やられたらやり返す子供の喧嘩。つまり本作に“悪魔”はいなかった。タイトルは『子供を見た』が正しい。もっとも子供とは、人間の生の感情のこと。押さえつけている状態の方が不自然なのかもしれない。個々の直情を制御し社会を形成するために編み出された知恵が、法であり、刑罰です。だから刑罰は大人の理屈ではなく、子供の感情を満足させるものでなくては、本来の意味が無いと思う。倍にして返せとは言わないが、せめて同等の痛みは感じてもらわないと。一発殴られたら、一発殴り返す。それだけのこと。それが許されない理屈って何なんだろう。本作を観て、あらためて死刑制度の必要性を認識しました。死という結果はもとより、死刑囚として過ごす1日1日に本物の反省が期待できるのではないか。いや、期待するより仕方がない。無益な復讐の連鎖を生まないために必要な刑罰があると思う。利口になり過ぎた私たちの社会は、今試されている気がします。スヒョンの復讐について。“遣り過ぎだ”と思う場面は皆無。ただ唯一引っかかるとすればラストです。親を巻き込むのは構わないが、息子だけは勘弁してやって欲しかった。あれでは息子が狂ってしまう。新たなギョンチョルを生んでは、一人を始末した意味がないです。(余談)イ・ビョンホンとチェ・ミンシクのキャスティングを換えても面白そうだと思いました。ただイ・ビョンホン好きのおば様たちからは非難轟々かもしれませんが。
【目隠シスト】さん [映画館(字幕)] 8点(2011-02-27 00:54:01)(良:2票)
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