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《ネタバレ》 少年2人の派手な言動に目を奪われがちですが、真の主役はルイサでした。それは衝撃の結末で明らかになります。彼女が置かれていた状況を知ると、今までの出来事に対する捉え方が劇的に変化します。ルイサの心情を慮ると心が締め付けられる。同姓の観客ならば尚更でしょう。それは深い余韻を伴います。それにしても人生は無常なもの。しかし情緒的に捉えることも出来ます。彼女が「終わりの楽園」に辿り着いたのには、意味があるのではないか。存在するはずのないビーチ「天国の口」。もしかしたら、彼女は誰かに導かれたのかも。ルイサにとってハノは、夫である前に恩人でした。孤独から救ってくれた人。でも愛情とは、少し違うかもしれない。彼女が生涯のうちで最も愛したのは、元彼だったような気がします。ちょうどテノッチやフリオと同じくらいの歳に事故で死んだ彼。前歯が欠けた、ポニーテールの彼です。彼の話をするルイサは楽しそうでした。顔すら分からない彼の姿が頭をよぎります。ラスト、少し大人になったフリオの髪は伸びていました。頭の後ろで髪を縛れるほどに。この事から、死んだ元彼の霊的な介在を主張する気はありません。でも、ものは考えよう。全ての事に意味がある。理由がある。そんなふうに考えることで、救われることもあります。この夏の出来事が、2人を成長させたとは思いません。この出来事がなくても、テノッチとフリオは別れたと思います。2人の関係は、成長期の少年に多い、特殊な結びつきでしたから。彼らにとって彼女は、甘いような苦いような思い出の一つでしかないと思います。彼女の死を知ってもなお、それは変わらないと思う。少なくとも今のところは。ただ、ずっとずっと経ってから、ふと思い出して涙を流す日が来て欲しいと願います。それはたぶん精神的に彼女に追いついた時。その時、この経験は彼らをいい男に変えてくれる気がする。
【目隠シスト】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-06-14 19:00:05)
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