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《ネタバレ》 関西地方と思しきとある島が舞台。漂う空気に覇気はなく、閉塞感に包まれています。物価は高く、治安は悪く、中華料理屋はマズい。島を捨てればいいのにと思う。でも島民はその生活を受け入れています。多分一生島からは出られない。それは此処に根付いてしまっているから。爽やかな高原の風に揺られる花もあれば、真夏の太陽に焼かれながら、道路の端っこにへばりついて生きる草もある。どこに何で生まれるかは運。蒔かれた種は、そこで芽を出すしかありません。運命という言葉は好きじゃないけど、どうしようもない事はある。そういう現実を笑いのエッセンスに変えるしたたかさ。アスファルトを割る雑草のような生命力。それがサイバラ作品の魅力だと思います。痛いけど可笑しいのは、本当の意味で惨めじゃないから。本作がその魅力を十分に引き出しているとは、正直言い難いです。でもだからダメだとは思わない。原作を最高に楽しむ方法は、原作を読むこと以外にありません。映画は映画。割り切って捉えるとそんなに悪くないと感じます。観月は汚れ役をものともせず、岸辺は「上手い」の一言。濱口や今田も良かった。それに「親はなくても子は育つ」というテーマは伝わってきました。島を離れる兄弟。動物の毛に絡み付いて移動する雑草の種のように。あるいはタンポポの綿毛のように。此処ではない何処かに行き着いて根を下ろし、いずれ花を咲かせて欲しいと願います。愛情を注がれて世話をされた子供は幸せだという。では一太や二太、ネコ婆の子供たちは幸せではないのか。彼らを憐れむほど、自分は厚顔ではありません。むしろ「生きとったらええねん!」と言い切れる強さに憧れます。
【目隠シスト】さん [DVD(邦画)] 6点(2007-10-19 18:18:29)
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